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先進分子腫瘍学分野

教授   合山 進

連絡先 ▸  03-5449-5782  goyama@ims.u-tokyo.ac.jp

03-5449-5782
goyama@ims.u-tokyo.ac.jp

[キーワード]造血器腫瘍、がん幹細胞、分子標的療法、腫瘍免疫、lncRNA

[キーワード]

造血器腫瘍、がん幹細胞、分子標的療法、腫瘍免疫、lncRNA

がんを治す

近年の様々な技術革新により、「がんを治す」ことは遠い未来の夢ではなく、現実的な目標となりました。 私達の研究室では、造血器腫瘍を中心に、がん病態生理の解析と新規治療法の開発を行っています。 以下、現在進めている主なプロジェクトを紹介します。

1. 転写因子標的薬の開発

 転写因子の異常はがんの原因となりますが、これらの多くには良い標的薬がありません。 私達は、最新のタンパク質間相互作用制御技術や核酸制御法を用いて、“undruggable”な分子に対する治療薬の開発に挑んでいます (Fig.1)。

1-1. Protein degraderの開発

 標的分子に結合する化合物とE3ユビキチンリガーゼに結合する化合物をリンカーで繋いだ合成化合物を用いて、標的分子の分解を誘導する“Protein degrader”の開発が注目されています。 私達も、転写因子RUNX1のユビキチン化を促進するE3リガーゼとしてSTUB1を同定し、STUB1によるRUNX1分解を促進するProtein degraderの作製を進めています。

1-2. 核酸医薬の開発

私達は、東芝研究開発センターと共同で、造血幹細胞や白血病細胞に効率良くRNAを導入できる脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle: LNP)を開発しました。 現在このLNPを活用して、白血病細胞にsiRNAを導入する手法、また造血幹細胞内で遺伝子治療を行う手法の開発を行っています。

2. がん幹細胞と腫瘍免疫

がんの発症、再発の根源である「がん幹細胞」を駆逐しない限り、がんを治すことはできません。 私達は、マウス白血病にがん抑制因子p53の活性化薬を投与する治療モデルを用いて、 白血病幹細胞が腫瘍免疫の攻撃から逃れることで治療抵抗性を示すことを見出しました。 現在、in vivo CRISPR library Screeningを活用して(Fig.2)、がん幹細胞における腫瘍免疫抑制因子の探索を進めています。

3. lncRNAの役割解明と標的薬の開発

 最近の研究で、長鎖非コードRNA (long noncoding RNA:lncRNA)の多彩な役割が少しずつ明らかになっています。 しかし、大部分のlncRNAの機能は依然として不明で、またlncRNAを標的とした治療法の開発も進んでいません。 私達は最近、造血幹細胞および骨髄系腫瘍におけるパラスペックルの重要性を明らかにし、その過程でパラスペックル形成の核となるlncRNA: NEAT1の機能を調べるための様々な解析手法を開発しました。  現在、造血器腫瘍におけるlncRNAの役割を解析するとともに、NEAT1を含むlncRNAを標的とする核酸医薬の開発を進めています。